いじめ防止基本方針

松阪市立大河内小学校 「いじめ防止基本方針」

はじめに

いじめは決して許される行為ではない。卑劣で嘆かわしいものである。しかし、依然 として社会の中に存在する。学校の中もまた例外ではない。まだ心も体も成長の途上にある児童・生徒にとって、いじめは大きな問題である。

いじめに対して、私たちは毅然として対処していく必要がある。また、何よりもいじめを防止するシステムを構築しなければならない。

松阪市立大河内小学校は、平成25年9月28日に施行された「いじめ防止対策推進 法」の第12条に基づく国の「いじめ防止等のための基本的な方針」や「三重県いじめ防止基本方針」、「松阪市いじめ防止基本方針」を踏まえて、「松阪市立大河内小学校いじめ防止基本方針」を策定した。そして、平成29年3月の「いじめ防止等のための基本的な方針」改定や平成30年4月に施行された「三重県いじめ防止条例」を踏まえ、本方針を見直を行った。さらに、令和2年4月1日の「松阪市いじめ防止基本方針」の改訂にともない、さらに本方針を見直し、ここに改めていじめ根絶に向けての学校方針を示すものとする。(令和2年8月)

Ⅰ いじめ防止の基本となる考え方

1 いじめの定義と判断

<定義>

「いじめ」とは、児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該 児童生徒と一定の人間関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。(いじめ防止対策推進法 第2条より)をいう。なお起こった場所は学校の内外を問わない。

<判断>
◆ 個々の行為が「いじめ」にあたるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、 いじめられた児童の立場に立つことが必要である。また、いじめられた児童本人や周辺の状況等を客観的に事実確認することも重要である。
◆ けんかやふざけ合いの範疇であると思っても、背景事情を調査し、児童の感じる被害 性に着目して判断すべきである。
◆ いじめられていても、本人がそれを否定する場合が多々あることを踏まえて、当該児童生徒の表情や様子をきめ細かく観察するなどして、いじめられた子ども本人や周辺の状況等を客観的に事実確認することも重要である。

2 「いじめ問題」に関わる基本認識

(1)いじめは、いじめを受けた児童の尊厳を損なう、絶対に許されない行為である。
(2)いじめは、どの集団でもどの子どもにも起こる可能性がある。
(3)いじめは、様々な背景の中、様々な場面で起こる。
(4)いじめは、「加害者」「被害者」だけでなく、「観衆」や「傍観者」といわれる周囲の子どもたちにも注意を払う必要がある。
(5)いじめを防止するためには、学校全体、社会全体で取り組む必要がある。
(6)いじめを許さない社会意識の醸成が必要である。

 

Ⅱ 学校におけるいじめ防止のための取り組み

児童が、自己のコミュニケーション能力を育み、授業や行事に主体的に参加し活躍できるような「授業づくり」や「集団づくり」を行う。あわせて、集団の一員としての自覚や自信を育むことにより、互いに認め合える人間関係・学校風土をつくっていく。
さらに、保護者や地域の人たちへの啓発を継続的に行い、社会全体がいじめを許さない雰囲気に満ちるようにしていく。
これらのさまざまな取り組みについて、PDCAサイクルによる改善を行う。

 

1 学校の姿勢

(1)「いじめは絶対許さない」「子どもたちを徹底して守り通す」という姿勢
(2)子ども目線に立ち、子どもの様子や声に着目する姿勢
(3)いじめの情報を得た場合、それを学校全体が共有し、組織的に対処する姿勢
(4)当方針をはじめ、様々な情報を家庭や地域に発信し、地域全体に「反いじめ」の 意識を根付かせようとする啓発的姿勢

2 集団づくり

(1)自尊感情を高める
自己のコミュニケーション能力を高め、自分が大切にされていることを実感し、 自分にかかわってくれている人々を大切にする気持ちを育む。
(2)規範意識を高める
人権教育や道徳教育、学校のさまざまな活動を通して、社会のルールを守り、学 校のきまりや学習規律を守ることのできる規範意識を育てる。
(3)良好な人間関係のある集団づくりを進める
学級や学校を全ての児童が安心・安全に生活できる場所にし、日々の授業や行事、 なかよし班活動等において、子どもたちがともに高め合い、活躍できる場を設定し ていく。

3 授業づくり

(1)「わかる授業」の構築
学ぶ楽しさや充実感を味わえる授業の構築を図るため、教材研究や授業研究を積 極的に行う。また、基礎・基本の確実な習得のためのきめ細かな指導を推進する。
(2)校区の連携による学び合う授業づくり
中部中学校区の保育園・幼稚園・小学校・中学校がさまざまな機会で交流し、互 いに学び合う学習を推進する。
(3)道徳教育の推進
いじめの問題を自分のこととして捉え、考え、議論する授業を行う。

4 インターネット上のいじめへの対応

(1)情報モラルに関する教育を1年生から系統的に行う。
また、教科等の時間にインターネットを利用する機会をとらえ、啓発を繰り返す。
特に高学年においては、インターネットいじめの卑劣さを理解させ、携帯電話(ス マートフォン)所持に対応する。
(2)家庭に対して、ネットいじめの情報を伝え、その危険性の理解を促す。また、情 報モラルに関するリーフレット等の配付などで啓発の充実に努める。
(3)ネット上の不適切な書き込み等があった場合
・県の監視・対応体制とも連携する。
・問題の部分を確認し、印刷・保存し、関係児童等から聞き取り調査をする。
・被害児童・保護者への心的ケア等の支援を講じる。
・保護者との連携のもと、プロバイダに対して削除要請する。
・必要に応じて、法務局、警察等に協力を求め、書き込んだ者への対応をする。

 

Ⅲ 早期発見・早期対応の取り組み

1 早期発見

いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って 行われたりするなど、大人が気づきにくく判断しにくい状況で行われることが多い。したがって学校関係者、保護者、地域住民が連携して、子どものささいな変化をみのがさないよう意識し、積極的にいじめを認知することが必要である。また、近年インターネット上のいじめが増加している。そのために、早期の発見がきわめて重要である。
(1)日常的な取り組み
①教職員による日常的な児童との対話や観察、連絡帳等による児童の変化やサイン に気づくための日々の教育活動を大切にし、日記や作文、生活ノートなどの活用 を行う。
②管理職等が校内を巡回し、安全対策を行う。
(2)児童に対して、「いじめ調査」を実施して、いじめの状況を把握する。
(3)児童に対して、「学級満足度調査(QU調査)」を実施し、児童一人ひとりの状 況及び学級の状況を把握する。
(4)上記の「いじめ調査」や「QU調査」等をもとにして、教育相談を実施する。
(5)校区のハートケア相談員、スクールカウンセラーとともに、被害児童の心のケア を最優先に行う。また、必要に応じて加害児童のケアも行う。
(6)緊急な被害児童の心のケアに対しては、臨床心理士等の派遣を教育委員会に依頼 する。

2 早期対応

(1)いじめを発見、通報を受けた場合は、一部の教職員で抱え込まず、速やかに管理 職・生活指導担当教員に報告し、「校内いじめ防止対策委員会」を開催する。
(2)被害児童を全面的に支え、児童を守る姿勢で対応する。
(3)被害児童からの聞き取り及び保護者への報告を行い、保護者や関係者とともに解決を図る。
(4)加害児童からの聞き取り及び保護者への報告を行い、相手への謝罪を含め保護者 や関係者とともに解決を図る。
(5)周囲の児童からの聞き取りとともに、傍観的な立場に立つことがいじめの助長に つながることについて、学校全体に指導する。
(6)教育委員会に速やかに連絡するとともに、対応策について継続的に指導・助言を 受ける。
(7)犯罪行為として扱う必要のある事案については、早期に教育委員会、警察に相談 し、連携して対応する。

3 いじめの解消

いじめが解消されている状態とは、少なくとも以下の2点が満たされている状態であ る。ただし、場合によっては他の要件も加味される。
①いじめに係る行為が相当の期間止んでいること
→ 少なくとも3か月間、止んでいる状態が継続している。
②被害者が心身の苦痛を感じていないこと
→ 被害者本人及び保護者に対して面談等により確認する。

 

Ⅳ いじめ防止のための校内組織と体制

1「校内いじめ防止対策委員会」

(1)委員会は、管理職、生活指導担当、養護教諭、該当学年担任で構成する。なお、 必要に応じ、松阪市教育委員会、ハートケア相談員、スクールカウンセラー、児 童・民生委員等の校内委員会への参加を依頼する。
(2)いじめ防止に関する措置を実効的に行うため、いじめ調査やQU調査などで情報 を収集するとともに、事実確認を迅速にすすめる。
(3)いじめの事実を詳しく正確に調査し、情報を集約整理して、教育委員会に報告し て助言を受けながら、児童及び保護者に周知していく。
(4)学校関係者、関係団体との連携を密にしていく。
(5)学校自己評価、学校関係者評価等において、いじめに係る検証を行っていく。

2 教育相談体制と生活指導体制の充実

(1)「校内いじめ防止対策委員会」が中心になって、教育相談体制の充実を図る。
(2)管理職、生活指導担当、該当学年担任が、生活指導上の問題に対応する。

 

Ⅴ 重大事態への対処

1 重大事態とは

① いじめによる当該学校に在籍する児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めたとき
②いじめにより当該学校に在籍する児童生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるとき
(いじめ防止対策推進法第28条)
①については
・児童が自殺を企図した場合
・身体に重大な障がいを負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合
等のケースが考えられる。
②の欠席については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。ただし、児 童が一定期間連続して欠席しているような場合には、その目安にかかわらず教育委員 会又は学校の判断により迅速に調査に着手する。

2 重大事態発生時の対処

(1)重大事態発生の通報を受けた場合は、速やかに「校内いじめ防止対策委員会」を 開催する。
(2)内容を把握後、速やかに教育委員会に報告し、対応策や連携範囲などについて指 導助言を受ける。
(3)教育委員会又は学校は、当該重大事態に係る調査を行うため、速やかに調査のた めの組織を設け事実関係を明確にするための調査を行う。
(4)学校が調査の主体となる場合は、「校内いじめ防止対策委員会」を、調査を行う ための組織の母体とする。なお、その際には、教育委員会の指導・助言を受ける。
(5)調査の実施にあたっては、重大事態に至る要因となったいじめ行為が、
①いつ(いつ頃から)、誰から行われどのような態様であったか
②いじめを生んだ背景事情や児童の人間関係にどのような問題があったか
③学校や教職員がどのように対応したか
などの事実関係を、可能な限り網羅的に把握する。その際には、因果関係の特定 を急がず、客観的な事実関係を速やかに調査する。
(6)いじめを受けた児童やその保護者に対して、調査により明らかになった事実関係 について説明する。
(7)情報の提供にあたっては、他の児童のプライバシー保護や関係者の個人情報に十 分配慮して適切に提供する。
(8)教育委員会の指導・助言のもと、事後の指導対策プログラムを作成し、実践する。